modest violet

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開発者としてのあれこれや、日々の雑記など

your future hasn't written yet. no one's has.
by Emmett Lathrop "Doc" Brown

子供や部下を「真剣に叱る」という覚悟

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 世の中の風潮なのか、「叱る」という行為が凄く難しい。近所のおじさん、おばさんが叱ってくるという光景はあまり目にしない。すくなくとも自分のご近所さんでは皆無といっていいかもしれない。かくいう自分も近所の子供を叱ることはない。何故ならば「叱る」という行動はとてつもなく覚悟がいる。叱ることと怒ることは別であるとよく言われていますが、本当にその通りです。

「叱る」と「怒る」の違い

 僕自身は、「怒る」という行為は「何かしらの見返りを求める事」と思っています。例えば、「謝罪をして欲しい」「言わなきゃ気が済まない」という風に、自分の気持ちを晴らしたいが為の行動です。一方、「叱る」という行為に関しては、謝罪をして欲しいという思いはありません。相手の事を考え、相手の将来を案じ、または自分への戒めも込めて「叱る」んだと考えています。本当に相手の事を思って叱られた内容というのは、叱られた当人すら後になって振り返っても清々しくさえ思えます。厳に自分も新入社員の頃はボロカスに叱られましたが、恨み辛みなくきています。
 でも、叱られる事と怒られる事の違いが分からず声を挙げてくる保護者がいる事も確かなんですよね。やはりそれだけ叱られ慣れていないという事なんでしょうか。とにかく叱ることは現代社会においてはリスクが高いんです。そこまでの覚悟を持って近所の子供を叱りますか?と問われると否と答えざるを得ないのが現状です。

真剣に叱る・叱られてこそ人間の価値が出る

松下幸之助さんの「道をひらく」の一節にこんな一節があります。

真剣に叱られる

おたがいに人間、叱られるということは、あまり気持ちのよいものではない。
自分に非があったと認めていても、叱られるということはやはりいやである。
だから、叱られるよりも叱られないほうを好みがちで、これは一つの人情でもある。

また叱るほうにしても、あまり気持ちのよいものではない。うれしい思いはしない。
だからできれば叱らないに越したことはないわけで、これまた一つの人情といえよう。

しかし、人情と人情とがからみ合って、マアマアのウヤムヤにすぎ、叱りもしなければ叱られもしないということになったらどうなるか。
神様ならいざ知らず、おたがいに人間である。
知らず知らずのうちに、ものの見方考え方が甘くなり、そこに弱さと、もろさが生まれてくることになる。

もちろん、私情にかられてのそれはいけないけれども、ものの道理について真剣に叱る、また真剣に叱られるということは、人情を超えた人間としての一つの大事なつとめではあるまいか。
叱られてこそ人間の真の値打ちが出てくるのである。
叱り、叱られることにも、おたがいに真剣でありたい。

松下幸之助「道をひらく」より引用

道をひらく

道をひらく

 過去に何回か真剣に怒った事があります。その時は叱る側としてもすっごい嫌で、嫌で嫌で仕方がありませんでした。叱る言葉を間違えないように事前にシミュレーションする程、準備をした記憶があります。「叱る」という事により、もしかすると今までの関係を壊してしまう事もあります。だから、正直「怖い」訳であり、「嫌」です。だから僕は真剣に叱ってくれる人がいることはとてもありがたい事だと思っています。それだけのエネルギーを持って、自分の為に叱ってくれるのだから。希有な存在だと思えます。

のび太のママはダメ親

 大人になってアニメを見ると、子供の時とは全く違う視点で視ている事に気づきます。ドラえもんに出てくるのび太のママもその一人です。のび太がテストで0点を取ると烈火のごとく怒り、延々とお説教をして終わり。子供時代には何も感じませんでしたが、大人になってこの光景を見ると、のび太のママは教育を放棄しているとしか思えないのです。
 延々とお説教をしてのび太の成績が良くなれば良いのですが、絶えず0点を取ってきます。それを見てまた怒るの繰り返し。のび太の為を思って「叱る」という行動には至っていないわけです。このシチュエーションで叱るのであれば、「なぜ、のび太は0点しかとれないのだろう」と分析を行い、解決の糸口をのび太と共に探していくという形で接しなければダメです。のび太のママ自身が勉強を教えても良いでしょう。漫画のキャラクターなので、途中で性格や設定が変わることはないと判ってはいるのですが、上記のような怒り方をしているという点から、のび太のママはダメ親であると結論づけています。

最後に

 本当に「叱る」という行為は本当に神経をやられるくらいにダメージを受けますし、嫌なモノです。でも乗り越えればお互いの関係も良くなってより高みを望める可能性も多いのです。叱るのであれば「真剣」に接しましょう。どこかに自分が満足するとか、気持ちが晴れるとか、相手とかみ合わないとかそういう事になれば「叱る」ではなく「怒る」になってしまいます。そこには悪い印象しか生み出されません。

 叱ることを推奨している訳ではありません。叱る事が必要な場面に遭遇した際は「真剣に叱る」覚悟で臨んでください。