音楽の未来に影響を与える?安室奈美恵さんの配信停止が教えるサブスクリプションのリスクとは
2023/11/17に安室奈美恵さんの楽曲が音楽サブスクリプションから一斉に配信停止となり話題になりました。2023/11/26現在もまだ再開はしていないので、しばらく停止状況は続くと考えられます。好きな音楽が固定料金で聴き放題とは夢のような時代ですが、配信側の事情で楽曲が突如聞けなくなるというリスクを突きつけられました。安室奈美恵さんの配信停止がから、サブスクリプションのリスクを今一度考えます。
1. 音楽サブスクリプションとはどういうサービスか
音楽サブスクリプションは、ユーザーが一定の月額料金を支払い、その代わりにオンデマンドで音楽をストリーミングできるサービスです。代表的なプラットフォームには、Spotify、Apple Music、Amazon Music、Google Play Musicなどがあります。ユーザーはこれらのサービスを通じて広範な楽曲にアクセスでき、ダウンロードやオフライン再生も可能です。
2. 音楽サブスクリプションと音楽レーベルはどういう契約なのか
音楽サブスクリプションサービスは、音楽レーベルとのライセンス契約に基づいて提供されています。音楽レーベルはアーティストの楽曲の権利を所有しており、サブスクリプションサービスはこれらの楽曲を利用するために契約を結びます。契約には使用料や再生回数に応じた報酬などが含まれ、これによりアーティストとレコード会社は利益を共有します。
音楽サブスクリプションプラットフォームと音楽レーベルとの契約は複雑で多岐にわたります。以下は、一般的な契約の要素や取り決めの例です。
ライセンス料と報酬分配
- サブスクリプションプラットフォームは、音楽レーベルに対してアーティストの楽曲を使用する権利をライセンスとして購入します。
- プラットフォームは契約に基づいてライセンス料を支払い、その一部がアーティストとレーベルに報酬として還元されます。
契約期間
- 契約には有効期限が設定され、期間終了後に新たな交渉が行われることがあります。
- 長期間の契約では、プラットフォームが特定の楽曲やアーティストを一定期間独占的に配信する権利を得ることがあります。
地域制限と国際展開
- 契約は地域ごとに異なる場合があり、特定の国や地域での配信権が含まれることがあります。
- 音楽プラットフォームが国際展開する場合、新たな地域での権利確保に関する条件も契約に含まれます。
独占権と非独占権
- 契約には、サブスクリプションプラットフォームが楽曲を独占的に扱うか、または複数のプラットフォームに同時に提供されるかといった取り決めが含まれます。
- 独占権が与えられる場合、その対価としてより高額なライセンス料が発生することがあります。
品質管理とプレゼンテーション
- プラットフォームは、楽曲をどのようにプレゼンテーションするかや、音楽の品質についても契約で取り決められることがあります。
- アルバム単位での提供や特定のプレイリストへの楽曲の組み込みに関する条件も存在します。
著作権管理と法的義務
利用統計と報告
- プラットフォームは利用統計を定期的に提供し、アーティストやレーベルに対して透明性を保つことが求められます。
- これに基づいて報酬が計算・支払われます。
これらは契約の例であり、実際の契約はアーティスト、レーベル、プラットフォームごとに異なります。音楽業界は変化が激しく、テクノロジーや市場の変遷に応じて契約も柔軟に調整されています。
3. 安室奈美恵さんのように突如配信が停止するのは何故か
アーティストや楽曲の突如とした配信停止は、契約の問題やアーティストの意向など様々な理由が考えられます。契約が終了した場合やアーティストが楽曲の使用を差し止めたいと考えた場合、サブスクリプションプラットフォームはその楽曲の配信を停止することがあります。また、法的な問題や著作権の侵害が発覚した場合も、急遽配信停止が行われることがあります。
アーティストが自らの意思で楽曲の配信停止を選択する主な理由
契約終了または再交渉
- アーティストは契約の終了が近づいている場合、配信停止を選択することがあります。これにより、新しい契約交渉に臨みやすくなります。アーティストは、将来の契約条件や報酬について再評価を行い、より有利な条件で再契約を結ぶことが期待されます。
アーティストの独自の戦略
- 一部のアーティストは、自身の楽曲を特別なイベントやプロモーションの一環として意図的に一時的に配信停止することを選択します。これにより、楽曲の希少性が高まり、再配信時に注目が集まりやすくなります。
クリエイティブ・コントロール
- アーティストは、自身の作品に対するクリエイティブなコントロールを保ちたいと考えることがあります。楽曲の配信停止は、アーティストが楽曲の使用やプレゼンテーションについてより細かい制御を行う手段となります。
アーティストの主張やメッセージのため
- アーティストが特定の主張やメッセージを伝えたい場合、楽曲の配信停止はその手段の一つとなります。これにより、アーティストは自身の価値観やスタンスを強調し、注目を集めることができます。
楽曲の配信停止によるメリット
再交渉の強力な手段
- 配信停止はアーティストにとって、新しい契約交渉の際に交渉力を高める手段となります。プラットフォームは人気アーティストの楽曲が欠けることを避けたいため、再契約条件を改善しやすくなります。
プロモーションと注目の取得
- 配信停止を経て楽曲が再登場する際、それ自体が注目を集める要因となります。アーティストはこの戦略を利用し、プロモーションやマーケティングにおいて特別な効果を得ることができます。
クリエイティブ・フリーダムの維持
- アーティストが自身の作品に対してクリエイティブなフリーダムを維持したい場合、楽曲の配信停止はその手段として機能します。アーティストは配信のスケジュールや条件をより自由にコントロールできます。
意義あるメッセージの発信
- 配信停止は、アーティストが特定のメッセージやスタンスをアピールするための手段となります。これにより、アーティストとそのファンとの結びつきが強化されることがあります。
総じて、楽曲の配信停止は戦略的な意味合いやアーティストの目的に応じて異なります。これは単なる商業的な決定だけでなく、アーティストの表現の自由やクリエイティブな意図に関連したものとなります。
4. 配信が停止された後、復活することはあるのか
配信が停止された後、復活する可能性は存在します。復活の可能性は契約の再交渉や法的な問題の解決にかかっています。アーティストやレーベルが再びサブスクリプションプラットフォームと新たな契約を結ぶことで、楽曲は再び配信されることがあります。ただし、一度停止された楽曲が復活するかどうかはケースバイケースで異なります。
5. 過去に配信が停止したが、復活した日本のミュージシャンは誰か
具体的な事例については状況により異なりますが、過去に一時的に配信が停止されたが復活した例もあります。具体的な例としては、日本のミュージシャンである宇多田ヒカルさんが挙げられます。一時期、宇多田ヒカルさんの楽曲が一部の音楽サブスクリプションサービスから一時的に消えたことがありましたが、後に復活し、再び利用可能となりました。
6. サブスクの配信停止を考慮してCDを買うべきか
CD購入のメリット
所有権とコレクション
- CDを購入することで、物理的な形で楽曲を所有できます。また、アーティストのファンとして、コレクションとして保管することができます。
高音質
- CDは非圧縮の音源を提供するため、高音質で楽しむことができます。
配信停止の影響を受けない
- CDは物理メディアであるため、サブスクリプションサービスのような配信停止の問題には影響を受けません。
CD購入のデメリット
スペースと保管の課題
- CDは物理的なスペースを取り、保管に一定のスペースが必要です。
手動でのデータ管理
- CDをデジタル化して管理する場合、手動でデータの整理やバックアップが必要です。
新曲のアクセスが制限される
- CDコレクションに含まれない楽曲や新曲にアクセスするためには、追加の購入やサブスクリプションが必要です。
どちらが良いかは、個人の好みやライフスタイルに依存します。一部のユーザーはコレクションとしての所有権を重視し、CDを購入する一方で、デジタルの利便性を求めるユーザーはサブスクリプションサービスを利用します。
まとめ
普段は便利なサブスクリプションですが、「聴けて当たり前」と思うと突然聴けなくなった時の消失感や苛立ちが強くなります。サブスクリプションは「ある日聴けなくなるかも」という大前提を持ち、本当に聴きたい音楽はバックアップも兼ねてCDを買うなどのリスク回避が必要かもしれません。私としては過去のものも含め、ありとあらゆる楽曲がサブスクリプションで聴けるようになればいいなぁと思っていますが、まだまだ壁は多そうです。今回の一件はサブスクに依存し過ぎるといけない、という警鐘と捉えて使っていきたいと考えます。