modest violet

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開発者としてのあれこれや、日々の雑記など

your future hasn't written yet. no one's has.
by Emmett Lathrop "Doc" Brown

【書評】世界No1プレゼン術〜聴いてもらう人にハッピーな未来が訪れる

 プレゼンテーションの神と称されるマイクロソフト社の澤 円(さわ まどか)さんが、この度自身の極意とも言えるプレゼンテーション本を出版されました。

今回出版された本

世界№1プレゼン術

世界№1プレゼン術

澤円さん関連記事

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 なかなか個性が爆発している面立ちの澤円さん。自身のプレゼンテーションの中でも「サラリーマンにみえない」といったフレーズでアイスブレイクのネタにもされているようです。

 実際に私も生でプレゼンテーションを拝聴する機会があったのですが、それ以来すっかりファンとなりました。澤円さんのプレゼンテーションは何処が魅力的なのか?それは聴いた側の人間に共感を与えてくれるポイントが多い事だと思います。

 早速、書籍を購入して読んだ感想をまとめてみます。

ハッピーな未来が訪れるという伝え方を

 プレゼンテーションというと、「誰かに目的のものを説明する」というイメージが強いです。画面で映している資料を紙でも配布して、それをそのまま読んで説明しているというプレゼンも多く見受けられます。これでは駄目だと書籍のなかで語られています。まず、プレゼンを聴いてもらう人たちに「共感」してもらわないといけないというのです。共感を持って話をきいてもらう事で、プレゼンの内容から何かしらのアクションを起こそうという気になります。そして聴いた内容を他人に言いふらしたくなる。つまりは、「相手にとってどんなハッピーが訪れるのか」という点を意識して話を進めなくてはいけない、と語られています。
 これは「言うは易く行うは難し」で、ひたすらに練習を繰り返して、少しずつ身につけていく技術だと私は思います。まず「人をハッピーにする」という事は「自分がハッピー」でなくてはいけない訳です。毎日が疲れ切った営業マンには酷な状態かもしれませんし、プレゼンに不慣れな初心者にはまず高いハードルです。ハッピーとかそんな次元の話ではなく、うまく話せるかとか、間違ったらどうしようとか、不安でいっぱいなんです。原稿を丸暗記しようと必死になったりするケースも多く見受けられます。ただ、おしゃべりの技術は大事ではないと仰られています。私自身もよくやる失敗ですが、話す内容が多すぎて最終的に「何が言いたいの?」という状態に陥ります。これは目指すべき目標(羅針盤)がしっかりしていないからこそ、起こりうる失敗であったと書籍を読んで痛感しました。いかなる時も目指すべき目標は「聴いてもらう人にハッピーな未来が訪れるという、ワクワクした思いを抱いてもらう事であると学びました。

立場によって考え方の視点が異なる事を意識する

 頭では理解していてもよく忘れがちになるのが、立場によってかわる物事の「感じ方」「受け止め方」です。プレゼンテーションを聴く側の人達はそれぞれ目的や思想があります。当然、話す側も分かって入るのですが、自分の中の考え方や常識で話を進めてしまうという落とし穴に陥りやすい訳です。書籍の中でエレベータを例にされていたのが大変秀逸だなと思いました。エレベータはドアの中と外では数センチの差しかありません。ですが中にいる人はドアが開くと、早く出発してほしいので「早く閉まれ」と思います。逆にこれから乗ろうとしている人は「閉まるな!」と真逆の考え方をする訳です。
 これは普段の会話でも非常に有効で、自分の考え方に固執していると立場の違う人達と衝突してしまいます。逆に、この人の立場で考えるとどう映っているんだろうと「相手の立場になって考える」と見えてくることもあります。相手の立場になって考えるという事がプレゼンテーションには必要不可欠であると再認識しました。

心に残るエンディングを

 プレゼンテーションの最後を締めくくる際にも、徹底してこだわります。終わり良ければ全て良しとは少し違いますが、終わりの印象が悪いと総評も悪くなりがちです。現に私は2017年度のMicrosoft de:codeで澤さんのプレゼンを拝聴し、最後のフレーズ「わたしたちはテクノロジで人の幸せを創るためにここにいるのですから」が強くこころに染み渡りました。

 長い間忘れ去っていた感情を思い出させて貰えたと同時に、大変救われた気持ちでいっぱいです。あの最後のフレーズがあったからこそ、澤さんのプレゼンテーションの内容を色濃く記憶に留めていることが出来ていると思います。「プレゼントは、時間と空間を共有する」まさに一期一会の精神です。聴いてもらう人にハッピーな未来が訪れるという想いを持ってもらうためにも、「心に残るエンディング」をしっかり準備しないと駄目だと感じました。

最後に

 本の一部のフレーズに対して自分の感想なりを述べさせて頂きましたが、まだまだ素晴らしい考え方が満載です。この本は長く手元においておきたいと考えて今回はKindle版ではなく書籍で購入しましたが、紙質も良くさわり心地も良いです。

書籍版

マイクロソフト伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術

マイクロソフト伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術

関連書籍

 プレゼンテーションのみならず、何かしら人間関係に疲れたなーとか、仕事が嫌だなーとかいう時にも効果はあると思います。結構メンタル的な部分の見直しでも澤さんの考え方は私を助けてくれています。プレゼンテーションをする・しないに限らず一度は読んでみて欲しいなぁと思う一冊です。ブロガーさんにもお勧めできる本だと私は思います。何故ならブロガーさんの多くが「自分の知識が誰かの役に立てばうれしい」という具合に、人をハッピーにする為に記事を書かれていると思うからです。といいつつ、私が既に澤さんの書籍を読んで、共感した末、アクションを起こしたくなり、内容を他人に言いふらしたくなるといった「澤さんのプレゼン大成功!」にまんまとハマっているんですけどね!